「待兼浪漫」
新時代「令和」となった今年、まちかね祭は第60回の節目を迎えた。
今回のテーマに冠する浪漫という言葉は、大正時代に新しい時代の萌芽を示す意味合いで呼ばれた「大正浪漫」から引用している。大阪大学にて大学祭が始まったのは昭和年代ではあるが、今回大正時代に注目した理由は、大阪大学の源流である懐徳堂の歴史にある。懐徳堂は町人の学校として隆盛を誇っていたが、明治の文明開化とともに旧時代の学問所であるとして、廃校に追い込まれた。しかし、大正5年に重建懐徳堂として再建され、大阪の学問に大きく寄与した。
文化の祭典たる大学祭も年々合理化が進み様々なことが制度化された。その中でかつてのような人々の大学祭への情熱が薄らいでいるように思われる。時代が移ろい、社会の情報化がますます進む今、大学祭においても転換期がきているのかもしれない。一時は旧時代の遺物として廃された懐徳堂が再建されたように、大学祭もかつての熱気を思い返し、原点に立ち戻り、さらなる躍進を目指したい。
このように先代の大学祭を振り返り、まちかね祭をますます発展させていこうという思いから、大阪大学大学祭の萌芽を振り返るという意味を込めて、「待兼浪漫」というテーマとした。